夏を迎える前に対策を!


 汗ばむような気候の日も増えてきた。暖かくなると目につくようになるのが「ゴキブリ」。1匹でも見かけると100匹は存在しているとも言われている。

 全盛期の夏を迎える前に対策を始めるには、何をすればよいのだろうか。ゴキブリ対策専門サイト「ゴキラボ」や「害虫駆除110番」の編集長・和田まりさんに、効果的な対策を聞いた。

ゴキブリ対策は5月〜6月が肝心!

 姿を見るのも嫌だという人も多いゴキブリ。具体的な対策を始めるのなら、いつ頃が効果的なのだろうか。

「5月から徐々に卵がかえります。幼虫が小さいうちは行動範囲が狭く、隠れていることが多いです。そこから9月にかけて大きく成長すると、エサを求めてあちこちを徘徊するようになります。成虫になったゴキブリは、6月~10月の間に卵を産むようになり、やがて繁殖していきます。ゴキブリ対策は、気候が暖かくなる前の5月~6月に始めるのが効果的です

 対策としては、『ホウ酸団子』のようなベイト剤(※)と呼ばれる駆除剤を、ゴキブリが入ってきそうな侵入口に置くのが最初の対策です。きちんと対策をしておけば、ゴキブリの姿を見ることは少なくなるはずです」

(※)『ブラックキャップ』(アース製薬)や『コンバット』(キンチョー)などのこと

◆駆除剤の置き方にはコツがある

 効果的にゴキブリを駆除するには、ベイト剤の置き方にもコツがある。

「部屋がいくつもある場合は、各部屋にベイト剤を置いてください。なかでも重要なのが、玄関や窓のサッシ部分、そして水回りの排水管・排水溝の近く。また、押し入れやクローゼットも置いたほうがいいでしょう。集合マンションだと、クローゼットの裏が外部とつながっていたり、ほかの部屋とつながっていて、侵入してくる可能性があるんです。

 ゴキブリ対策の場合、駆除剤を置くのに適切な間隔は侵入経路と隠れ家に1~2個くらい。台所の場合だと、排水管の近くに1個、冷蔵庫の裏に1個というイメージです。それを意識してポイントに置いてください」

『ホウ酸団子』や『ブラックキャップ』などのベイト剤は、いつ置いたのか忘れてしまいそうだが、期限を過ぎたら効果はなくなってしまうのだろうか。

「ベイト剤を置いた時期がわからなくなるというのはよく聞きます。それを防ぐためには、ベイト剤のケースなどに、日付を書いたマスキングテープを貼っておく。貼る場所は表でも裏でも大丈夫です。ベイト剤には、半年や1年という期限があります。スケジュールを管理しないと、効果が薄れてしまうんです。

 引っ越した時に置いて、そのまま取り替えていないという人も多い。そのまま放置していると、ゴキブリが出てきた時に慌てることに……。ベイト剤は、季節毎に取り替えるようにしたいですね」

◆生ゴミは格好のエサ! 捨て方に工夫が必要

 夏に向けて気になるのが生ゴミの匂いだ。自宅でのリモートワークが日常になり、残飯や使いきれなかった食材も増える。これが、ゴキブリにとっては格好のエサになるという。

「生ゴミの処理には絶対に気をつけた方が良いです。ゴキブリは、どんなゴミでも匂いを嗅ぎつけます。ゴキブリが来ないようにするには、生ゴミはまめに捨てる。食べ残しが出たらゴミ箱に入れずに、一度、冷凍する。これだけでも、だいぶ効果があります。

 あとは、消臭効果のあるグッズも試してみる。重曹を生ゴミにふっておくだけで消臭効果が期待できます。また排水溝ゴキブリが出やすいスポット。ヘドロが出ないように注意してください」

 捨てる時にひと手間を掛けるだけでゴキブリ対策になる。

「精肉や納豆、お惣菜などの食べ物の匂いが残る容器やトレーなどは、食器と同じように洗剤で洗ってから捨ててください。お弁当のトレーには脂が残りやすいので、その臭いでゴキブリが寄ってきます。

 今は外食の代わりに、ウーバーイーツや出前を頼む人も多いと思いますが、マクドナルドやピザなどの紙の容器は脂や食べ物の匂いが強い。できれば、ゴミは溜めておかずにゴミの日にすぐ捨ててください」

 ゴキブリは、ゴミ箱の蓋を閉めていても匂いを嗅ぎつけてすき間から侵入するという。

◆外からも侵入するゴキブリ! 玄関の開け閉めに注意

 また、玄関の開け閉めにも気をつけた方が良いのだとか。

「5月以降は、玄関や窓からもゴキブリが入ってきます。廊下など共用部分や階段で見かけることも…。玄関に入る前には、必ずゴキブリが一緒に入ってこないように足元を見てから入る。マンションやアパートなどの場合は、エレベーターや階段などで、上の階まで一緒に登って来てしまう可能性もあります。

 クロゴキブリは、基本的に外に生息しているんです。夏の夜、住宅街などを歩いていると、道端で遭遇することがあります。私は、野良ゴキブリと呼んでいるのですが、彼らに出会うと“夏が来たな~”と季節を感じます」

◆ほんの少しの隙間があれば…

 ゴキブリの侵入経路はあらゆるところに存在している。

「窓、換気扇、洗面所の排水溝からも入ってきます。少しでも侵入できそうな場所を見つけたらゴキブリは入ってきますので、そこにベイト剤を置いて防いでください」

 マンションの高層階にはゴキブリは出没しないという話を聞くことがあるが、本当なのだろうか。

「よくタワマンにはゴキブリが出にくいと言われていますが、高層なので上までたどり着きにくいのだと思います。でも基本的にはどこの建物にもいるのでゴキブリ対策は必要です」

ゴキブリが潜む場所

 キッチンなどにゴキブリが潜んでいることは予想の範疇かもしれないが、他にはどんな場所に注意したほうが良いのだろうか。  

 これからの季節、エアコンを稼働させる機会も増えてくる。エアコンゴキブリが潜んでいるという話もよく聞くが……。エアコンの使い始めに、ゴキブリがいるかどうかはどう確かめれば良いのだろうか。

「生きているゴキブリがいれば、エアコンを叩けばわかります。音がするか、逃げていくので。卵は中を開けてみなければなりません。エアコンクリーニングでゴキブリの卵が出てくることが結構あるそうです。ただし、素人では発見できないことも多いので。専門の業者に頼んでしまうのも手です。

 また、新しい家ならば大丈夫ですが、昔ながらの屋根裏があるような建物の場合は、そこにゴキブリがいる可能性があります。古いおばあちゃんの家などは、気をつけた方がいいですね。まずは、ベイト剤を置いてみて、それでもゴキブリが出て困るようだったら、こちらもプロに退治や清掃をお願いした方がよいですね」

 いま流行りのベランダ菜園や観葉植物を育てている人も要注意。

ゴキブリは、隠れ家となる緑にも寄ってきやすいです。花を育てたり、鉢植えで菜園をやっている人は、屋外用のベイト剤を多く置いてください。できれば植物の土の部分にベイト剤を置いて、家の中に入れる前に退治するようにしてください」

◆旅行や出張先のホテル・旅館でゴキブリと遭遇…

 もしも旅行や出張先のホテル・旅館などでゴキブリと遭遇した場合は、どうすれば良いのだろうか。気になってしまうと夜も眠れない。

ホテルフロントに事情を話すしかないと思います。殺虫剤など何も持っていない状況だと、自分では退治できないと思うので。新築のホテルなら大丈夫かもしれないですが、古いビジネスホテルや観光旅館はゴキブリ対策をしていても侵入経路となるすき間が多いですし、また清掃も行き届いていないと、ゴキブリが出る可能性はあります。ホテルには食べ物だけではなく、水場やお風呂があって、暖かくて住み心地が良い。要するに、ゴキブリが生息しやすい環境と言えます。

 私がこの前、出張先のホテルで遭遇したのはチャバネゴキブリの幼虫。これは、普通の人だと見てもわからないくらい小さいんです。万が一、それが荷物に入り込んで自分の家に持ち込んでしまったら嫌ですよね。外から帰ったら、洋服や荷物は玄関前で出して一度、払ってください。“なんか変なところに泊まったかも”という気がしたら、これを必ず行ってください。

 また、今流行中の大型銭湯・スパ施設にも食堂などが併設されており、ホテルや旅館と同様の環境です。ゴキブリがいる可能性は非常に高いので、帰宅時の習慣として身に着けてください」

 どうしても、出張などで古いビジネスホテルなどに泊まらなければならない時は、どうすればよいのだろうか。

「ワンプッシュで使える殺虫剤を使います。玄関から入った時に一回シュッとやっておけば、ゴキブリが寄り付きにくくなりますよ」

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 ゴキブリ対策は、日ごろからのこまめな対策が重要と言えそうだ。

「徹底的に対策するのは大変ですが、まずは基本として『ホウ酸団子』などのベイト剤を置いておくのがいちばん。でも掃除をしていない部屋に置いても意味がないので、部屋も清潔にするのを心がけてください。クロゴキブリは卵が1つあれば、そこから10匹から20匹くらい生まれます。どんどん倍々で増えていき、10匹が次は100匹となる。俗に言う『1匹いたら100匹いる』というのはあながち嘘じゃないんです。ゴキブリは、繁殖力が強いので健康に育てば、どんな環境でも生きていけます。そのため、根絶は難しい。できる対策からやっていくようにしましょう」

 早めの対策で今年の夏はなるべくゴキブリを見ないで過ごしたい。

<取材・文/池守りぜね、協力/ゴキブリ対策専門サイト「ゴキラボ」、「害虫駆除110番」>

【池守りぜね】
出版社やWeb媒体の編集者を経て、フリーライターに。趣味はプロレス観戦。ライブハウスに通い続けて四半世紀以上。家族で音楽フェスに行くのが幸せ。Twitter@rizeneration

ゴキブリを見かけるようになる前に、侵入経路となる玄関(写真)や排水溝に対策することが肝心


(出典 news.nicovideo.jp)